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北海道・東北地域は、わが国の国土面積の43%をしめ、東京一極集中やその弊害に悩む首都圏等とは異なり、今後の大きな経済的可能性を有している地域である、しかし、産業と人口の集積は低く、人口はわが国総人口の14.3%、県内総生産額はわが国全体の11.7%、同様に製造品生産額等も8.5%をしめるにすぎない。また、民間金融機関の活動も低位にとどまっている。ただし、北海道・東北地域の公共投資総額は日本全体の17%をしめ、相対的に高い水準になっている。
とくに、北海道地域は工場立地件数が少なく、1993(平成5)年度はわずか80件にすぎなかった(表10−1)。また、その地域ブロック別シェアは4.9%(93年度、図10−2)と全国で最下位となっている。さらに、業種別工場立地動向を示した表10−2から判断できるように、比較的規模の大きい工場が多い加工組立型産業(一般機械、電気機械、輸送機械など)の比重が、北海道地域はきわめて低い。この点では、近年、工場立地件数が全国トップで加工組立型産業の進出が著しい東北地域と、きわだった対照をなしている。このことは、産業構造の内実にまで立ち入ってみるならば、1970年代以前とは異なり、もはや今日では北海道経済と東北経済とを同質の一かたまりのものとして把握することができないことを意味している。そして、当然のことながら、製造品出荷額においても北海道地域の金額は低い。全国の製造品出荷額にしめるその割合はわずか1.9%にすぎないのである(表10−3)。
他方、公共投資額は北海道地域が2兆8千億円、東北地域が5兆円となっている(表10−4)。そして、表10−5から判断できるように、1人当り公共投資額は北海道地域が49万6千円、東北地域が40万9千円となっていて、北海道地域の1人当り公共投資額は全国で断とつトップに位置している(東北地域は6位)。北海道経済の官依存体質はしばしば指摘されているが、実際、北海道経済が公共投資依存型になっていることはまちがいない。ただし、経済の自立の展望が見えないまま、官依存体質の脱却つまり公共投資の大幅削減が先行してしまうのならば、北海道経済は極端な困難におちいるであろうことをも、このことは意味している。この点は銘記しておかなければならないのである。

 

 

 

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